子どもと親のためのコミュニティ広場
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幸せ運ぶエンジェル
中内 玲子(37) 香川県高松市
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「赤ちゃん来ましたよ」助産師さんの声にゆっくりと頭を動かすと、大きな目で不思議
そうに私を見つめる我が子が目に飛び込んできた。「可愛い!」思わず口に出してしまった
程だ。妊娠5ケ月に切迫流産と診断され、3ケ月半の24時間点滴入院生活を経て生まれ
てきた娘。喜びもひとしおだ。
だが私の喜びは別にもあった。それは父親を70歳にしてやっと本当の『じいちゃん』
にしてあげられたこと。同窓会に出席する度、孫の話題には参加できないと嘆いていた父
親。口癖は「じいちゃんにはなれないだろう」だった。30歳を過ぎても結婚のケの字も
出ない娘に歯がゆい思いもあっただろうに。入院中は毎週週末になると、車で3時間かけ
て会いに来てくれた。何の変化もない退屈な毎日。私が週末を楽しみにしていたのは、言
うまでもない。
帝王切開だった私は、手術室から病室に運ばれた。入り口の前にいた父親は、無言で何
度も頷いていた。その時私は、父親の目に涙を見た。―父ちゃん、今まで心配かけてごめ
んね。ありがとう―
私たち夫婦は、我が子に〈こはる〉と名付けた。〈心春〉と書いて〈こはる〉。いつでも
春のぽかぽか陽気のような温かい心を持っていてほしい。あなたがそこに居るだけで、皆
が温かい気持ちになるような、ヒダマリみたいな存在であるように願う。
じいちゃんはもうメロメロだね。「春は幸せを運んでくれるエンジェルだね」って、それ
は嬉しそうな顔で話してるよ。
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