子どもと親のためのコミュニティ広場

高田外亀雄
亀は長生きします
高田外亀雄(59) 北海道亀田郡七飯町

 多くの先生は私の名前を読もうとすると「えー」と詰まり、間をおいて「何て読むんだ」 と首をひねった。外亀雄を即座に正確に読む人は少なかった。小学校時代は、読みずらい 名前ぐらいにしか思っていなかった。
 しかし、中学・高校では「ソト・カメ・オ」とは、なんという妙な意味のない漢字を並 べたものだろうか。ふざけた漢字の配列だと憤慨した。父は大酒を飲んで酔っ払ってつけ たんだろう。子だくさんの家だったので、俺の誕生にうんざりした証拠だとひがむように なった。
 同級生はまともに読む努力を放棄して、「ソトカメオ」と読んだ。自分の名前を正しく読 まれないことは情けなかった。大人でさえ読めないのであるから、同級生に読んでくれと は無理な注文であった。
 名前の由来を母から教えられたのは、30を過ぎてからであった。父は他界していた。 私は男5人と女5人の10人兄弟であった。男の子は3人が亡くなり、4人の兄たちの名前 はみな一字であった。勲・薫・敏・勇であり、父は一字だから早世したと考えたらしい。 父の衝撃の大きさがわかった。そこで長生きの象徴である亀を名前に入れたかったのだ。
 明治35年生まれの父は、小学校さえほとんど行っていない。ようするに「学」がなか った。それなのに知恵を絞って亀を入れるために悪戦苦闘した結果が、「ソトカメオ」であ ったという。父の子を思う必死さが、私の名前にはこめられていたのだ。
 その後、「ときお」と読みます。兄たちの名前が一字で早死にしたので、長生きするよう にと「亀」を入れたそうですと由来を説明する。多くの人は親の願いがこもっていて、い いですね、うらやましいですという。
 父の願いにこたえなくてはと自分に言い聞かせながら重い腰をあげ、一時間の散歩に出 かける毎日である。


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