子どもと親のためのコミュニティ広場
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私は自分の名前が嫌いだった。全部漢字じゃないのが中途半端で嫌だった。漢字の名前
にあこがれていた。中学生の時、
「年賀状の名前を漢字で書いてね」
と友達にお願いしたことがある。由美子、有美子、弓子―色
んな「ゆみこ」の年賀状が配達された。その中で、私は優美子が気に入った。優しくて美しい子―なんていい響き。
名前を自分で付けられたらいいのにと思った。
「文句があるなら、お父さんに言いなさい。お父さんが付けたんだから」
母は言うけれど、亡くなった父に文句は言えない。二人娘が続いて、今度こそ男と期待
していたのに、また娘だったから、お父さんはがっかりしたらしい。だからあんまり考え
ずに、適当に名前を付けたのだろうと思っていた。
八年前、母が亡くなった。母の荷物を整理していたら、押入れの奥にあった古いダンボ
ールの中から私の出生届が出てきた。父の字で書かれていた。39年前の届けられなかっ
た出生届は練習書きか、書損じだったのだろうか。
「ユミは弓の意味を持つ。弓矢のように真っ直ぐ、目標に向かって行く人であれ。ユー
(君)とミー(僕)の大切な子。幸せになりますように」
裏に書いてあった。適当に付けたのではなかった。私の名前にはちゃんと意味があった。
父の思いがこもっていた。
父は私が二歳の時に交通事故で亡くなった。父との思い出は何も無い。「父親参観日」は
必ず母が来てくれたけれど、さびしかった。でも、父は私に素敵な名前をプレゼントして
くれた。
私は父と母の大切な子。私が生まれた時、父が願ったように、幸せになろう。それが一
番の親孝行だと信じている。
お父さん、名前、ありがとう。
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