子どもと親のためのコミュニティ広場
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長男の名前は敬道。これで
”ひろみち“と読みます。この長男の命名にあたり、私は妻
と大喧嘩しました。結婚後、初めてのことでした。もともと、私の実家では男の子ならば
一文字の名前と決めていました。二文字の名前だった実父の兄が生後まもなく病死したか
らです。以来、私の家では親戚も含め、男の子には一文字の名前を付けることが暗黙の了
解となっていたのです。私の父母は男の初孫ということで、それを当然と考えていました
し、私自身もそのつもりでした。ところが、妻の家では姓名判断を重視していたのです。
そして、専門家による判断の結果はすべて二文字。その中から妻が選んだのが
”敬道“でした。私はこれまでの経緯を改めて説明して断固、一文字の名前を主張。一方、妻も「こ
れ以外の名前は考えられない」と譲りませんでした。お互いの言い分は平行線をたどり、
出生届を出せぬまま時は過ぎ、ついにはこれ以上は遅らせることのできない日を迎えてし
まいました。その日、私はこれまでの鬱憤を抑え切れず、妻の両親など大勢がいる前で出
生届を思い切り投げつけていたのです。見かねた義父は「もう一度、(私の)お父さんと話
してはどうか」と諭し、私はすぐに車で三時間ほどの実家へ戻りました。私は実父と向き
合うなり「一文字の名前が付けられんなら、(妻とは)別れるしかない」と思いの丈
をぶつけたのです。
しばらく思案していた父は「みんなに可愛がってもらえる名前が一番じゃ。
敬道はええ名前じゃ」と言ったのです。私は再び、いま来た道を引き返し、その夜のうち
に出生届を提出しました。後日、実父が筆文字で大きく「命名、敬道」と書かれた半紙を
持参してくれた時には正直、涙が出ました。
敬道はこの十月、五歳を迎えました。私はいま、お互いの家族が生まれてきた子の幸福
を真に願うからこそ、あれほどの確執を生んだと振り返り、長男が物心つく頃にはその当
時のことを詳しく話してやろうと考えています。
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